バックミンスター・フラー
経済学者が読んだら電波あつかいされそうな話。そうです私は電波だったのです。*1
まず最初になされるべきは、輸送と通信。80億人分の食料があっても飢餓がなくならないのは、これが一番の原因だ。先進国の余剰は届かないというより届けようがないのである。
これを読んでなぜか、バックミン・スター・フラーの電力エネルギー・グリッドを連想した。これは世界の送電線のネットワークを国境を越えて単一に統合するという提案だ。
以下はバックミンスター・フラー『クリティカル・パス』(邦訳)からの引用。
- 作者: バックミンスターフラー,R.Buckminster Fuller,梶川泰司
- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 1998/11
- メディア: 単行本
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20年前2400キロメートルの有効送電範囲が技術的に達成されたとき、アメリカの電力ネットワーク・グリッドはアラスカからベーリング海峡を横断して極北東端ロシアの電力ネットワーク・グリッドにまで達することがすぐにはっきりわかった。…すべてを統合しているという利点から、この世界電力グリッドはどこへでも、誰にでも、いつでも、共通料金で電力を供給できる。これによって、現実に宇宙の時間ーエネルギーの代謝的計算システムに基づき、世界中で均一の原価と価格システムがすべての商品やサービスに適用されるようになるだろう。(pp.37ー40)
余剰電力の変動に効果的に対処するために、各々の「公益」事業は創業以来ずっと毎年毎年毎秒の最上昇点(山)と最下降点(谷)のパターンを記録してきた。会社は多数の予備の発電機を待機させているが、そのほとんどがわずかな時間しか運転されていない。(pp.34-pp.35)
地球上の昼の地域と夜の地域双方の電気エネルギーの統合によって、その全能力が常時利用できるようになる。(pp.328)
風ほど強力な動力源は、地球上存在しない。けれども風は、人類の必要に応じた時間パターンに同調しては吹いてくれない。風が吹いているときに発電してバッテリーに蓄電し、必要なときにそれを取り出すという方法では、電気エネルギーの75パーセントが入出力時に失われてしまう。…半径160キロメートルの範囲でみれば、風がつねにどこかで吹いていることがわかっている。直流を交流に変換して、世界ネットワークにその電力を供給できる風車を世界中に設置すれば、地球の日々のエネルギー収入源、つまり「風」を獲得し、それによって全世界のエネルギー需要を十分に満たしていくことができる。
(pp.330)