啓蒙とは何か

視点・論点「まん延するニセ科学」 - うしとみ

たしかに、なんでもかんでも単純な二分法で割り切れるなら簡単でしょう。しかし、残念ながら、世界はそれほど単純にはできていません。その単純ではない部分をきちんと考えていくことこそが、重要だったはずです。そして、それを考えるのが、本来の「合理的思考」であり「科学的思考」なのです。二分法は、思考停止に他なりません。

とはいうものの、菊池氏のいうように世間が学問に期待するのはまさにこの二分法であって、とりわけ、啓蒙(バカをひらく)とはバカな思考と賢い思考の二分法に基づいている。成功している啓蒙書というのはおおかれすくなかれ、わかりやすい二分法を提示することで、学問の有効性を説得するものである。

『マイナスのイオンといってもいろいろあるので、中には身体にいいものも悪いものもあるでしょうし、身体にいいといっても取りすぎればなにか悪いことも起きるでしょうし、ぶつぶつ……』

では、学問的に真摯であっても、啓蒙書としては失敗である。

問題は啓蒙書としては成功しているが、学問的にあきらかに間違いがある本をどう評価すべきかである。しかも、啓蒙書としては非常にまっとうなアプローチをしている場合である。こういった本に関してはまさに「初心者にとっていい面もあるでしょうし、初心者にとっていい面があるといっても信じこんでもらうとなにか悪いことも起きるでしょうし、ぶつぶつ」なのだ。

うー、なんてもってまわったような文章なんでしょう。