えっ、小野さんの議論から、財政政策否定論がでてくんの?−小島寛之さんの公共事業否定論について

http://wiredvision.jp/blog/kojima/200707/200707241130.php

このように、政府が公共事業を行う場合は、総生産に加わる価値はその公共事業が追加した価値ただそれだけであり、ほかはびた一文ない。しかも、それは(私的部門の財とは異なり)家計の所有物ではないから、実際的な所得に算入すべきではないだろう。国民の所得は一切増えず、増加しているのは公共部門の作った公共物のモノとしての価値(これは私人のものではない)だけなのである。

誤解されている乗数理論のように、無意味な公共事業でも所得増加が生じるなら財政政策の意義もあるというものだが、そうでないとわかった今問われなければならないのは、公的部門が私的部門よりも「国民が欲する財」を生産できる根拠は何なのか、ということだろう。

…(中略)…けれども、「景気対策」としての財政政策の価値は、いまや完全に否定されてしまったといっても過言ではないだろう。だって、乗数効果なんか幻にすぎないんだから。

いや、確かに小野さんの修正した正しい所得理論にもとづけば、増えるのは政府の資産なんだから、民間の資産は公共事業でふえないというのはその通りです。ただ、不況の時に、労働があまっていれば無駄なんだから、国民にとっての価値がゼロでなければ公共事業すべきだというのが小野さんの主張だろうし、そう考えるのが自然だと思うんですけど。いかがなもんでしょうか?