と、考えた私が痴呆であった。

マンキューの図を見ると上のような結論に至りやすい。マンキューの教科書では、操業停止価格以下の領域で、限界費用が単調な増加関数であるように(すくなくともそう誤解できるように)書いてある。しかし、そうであれば、操業停止価格はプラスにならない。

操業停止点において平均可変費用が価格と等しくなる。いいかえれば、収入=平均費用である。可変費用はそのその生産量までの限界費用積分すれば、もとめられる。

操業停止点における限界費用が生産量の増加関数で、なおかつ、それよりも生産量がすくない領域で限界費用が単調な減少関数であることはありうるだろうか。実はそのようなことはありえない。収入は価格×生産量なので、価格をあらわす直線の高さと生産量をそれぞれ辺にとって長方形の面積である。限界費用が単調に減少関数であれば、どんな生産量をとっても、可変費用は収入より小くなる。
この場合はどんな生産量であっても、平均可変費用は価格を上回るのだから、正の価格であれば、操業停止価格をうわまわり、供給曲線と限界費用曲線のギャップは存在しない。

では、どんなケースで操業停止価格はプラスになるのだろうか。ひとつのケースはS字型の費用関数をもつケースである。つまり、十分にちいさい生産量では、限界費用は生産量の減少関数で、ある生産量をこえると限界費用は生産量の増加関数となる。

このとき、限界費用が減少関数から増加関数にきりかわる点で、限界費用は最小点をもつ。生産量がゼロのときの限界費用より、価格が低く、最小の限界費用より高い価格がつけられたとしよう。そして、限界費用が増加関数になっている部分での限界費用と価格が等しい点で生産量が決められたとしよう。そこでは生産量が、現在の価格が限界費用を下回る領域と現在の価格が限界費用をうわまわる領域に分割される。

価格が限界費用をうわまわる領域ではその領域で発生する可変費用は収入をうわまわる。価格が限界費用を下回る領域では、可変費用は収入をうわまわる。両者の収入と発生する可変費用の差の絶対値が等しくなる価格が操業停止価格である。

もっと単純にわかるのは、操業停止点において、可変費用、つまり、限界費用積分と収入は一致する。つまり、ここにおいて、生産者余剰はゼロである。また、ここでの価格と供給曲線ではさまれた部分の面積もゼロである。だから、「価格を示す直線と供給曲線によってはさまれた部分の面積が生産者余剰である」というのは正しい。

ここの部分はわかりにくいので、時間があれば、あとで書き直そう。