塩沢由典「成長中立的税制」

http://www.tkfd.or.jp/vcasi/675.html

末尾の参考資料参照。

こちらはかなり前にセミナーの資料として報告されているものですが、内容の重要さにかかわらず、あまり言及されていないようなので、紹介します。

塩沢さん自身はバブル崩壊後の日本の現状を強く意識していて、その面でも重要な貢献であるのですが、私はカレツキの流れを引くポストケインジアンの消費理論の素直で厳密な拡張として重要だと思っています。

卒直にいえば、思いつきとしては私も同じようなことを考えたことはあります。思いつきだけなら、考えてみた人はけっこういるように思います。ある意味では非常に素直なアプローチですが、私がよくしらないかもしれませんが、ポストケインズ派で同様のアプローチはないのではないでしょうか。

マクロ経済学のノートとしてすでに書いているので、そのうち、ここでも書くかもしれませんが、通常の線形の消費関数の仮定と代表的個人によって、消費性向の階層間の違いのマクロ経済への影響は、通常の教科書モデルでは消えてしまっています。カレツキはそれをモデルの中心的な構成要素にしているのですが、私もそうですが、もうっちょっと、厳密にやれないもんかと思っている人もいるんじゃないかと思います。

塩沢さんの分析はそのあたりをちゃんとやれば、こうなるという研究にもなっているように思います。