ど素人でもできる経済予測

産業連関分析というものがある。これは公務員試験ではときどき出題されるのだが、ほとんどのミクロ経済学マクロ経済学の教科書ではでてこない。とりわけ、アメリカの教科書ではおめにかかったことがない。

今日はこれでだれでもすぐに簡単な経済予測ができることをしめそう。必要なものは逆行列表とよばれる表一枚と電卓である。

http://www.stat.go.jp/data/io/io00.htm に13部門からなるもの、32部門からなるもの、104部門からなるものなどがあるが、宮沢健一編「産業連関分析入門」(日経文庫) 産業連関分析入門―経済学入門シリーズ (日経文庫) から、うえのものを7部門にまとめたものをつかう。(211ページ付表1-6)

この表は次のようなものである。


& 農林水産 &鉄鋼 &機械 &その他の鉱工業 & 電力・ガス・熱供給 & 商業・運輸 & その他 \\\hline
農林水産 &1.325 & 0.0128 & 0.0152 & 0.0826 & 0.0133 & 0.0078 & 0.0147 \\\hline
鉄鋼 & 0.0108 & 1.8455 & 0.1097 & 0.0547 & 0.0106 & 0.0075 & 0.0173 \\\hline
機械 & 0.0132 & 0.0092 & 1.4754 & 0.0135 & 0.0090 & 0.0148 &0.0296 \\\hline
その他の鉱工業 & 0.2472 & 0.2127 & 0.2544 & 1.4539 & 0.2172 &0.1219 & 0.1906 \\\hline
電力・ガス・熱供給 & 0.0139 & 0.0769 & 0.0302 & 0.0383 & 1.1067 & 0.0912 & 0.0206 \\\hline
商業・運輸 & 0.1445 & 0.1929 & 0.1646 & 0.1833 & 0.0859 & 1.1300 & 0.1062 \\\hline
その他 & 0.1450 & 0.2420 & 0.2729 & 0.2268 & 0.3245 & 0.2808 & 1.2359 \\\hline
計 & 1.7071 & 2.5921 & 2.3225 & 2.0530 & 1.7672 & 1.5820 & 1.6150 \\\hline

産業連関分析とはなにかわからなくともこの表のつかいかた自体はかんたんである。たとえば、あなたが「阪神が優勝すると阪神関連グッズが1億円売れる」と予想したとしよう。うえの表では阪神関連グッズ製造は「その他の鉱工業」に分類されるだろう。その2億円の経済効果を分析してみよう。

「その他の鉱工業」の縦のならびをよんでみよう。

農林水産
0.0826
鉄鋼
0.0547
機械
0.0135
その他の鉱工業
1.4529
電力・ガス・熱供給
0.0393
商業運輸
0.1833
その他
0.2268
2.0530

経済全体への効果は2億円×2.20530=4億41060万円である。農林水産部門への効果は2億円×0.0826=1652万円である。これ以上は説明不要であろう。

これであなたも今日から経済予測ができる。