どうして産業連関分析がマイナーなのか

これは部外者から憶測にすぎないが、産業連関分析の専門家はど素人に勝つのがむずかしいのだ。実は上の表による分析は正確さに大変問題があるのだが、ようするに違う表をつかえばもっと正確な分析ができる。つまり、表さえあれば、需要予測ができれば、ど素人とプロがおなじ結果がえられてしまう。

経済全体の需要予測はやはり経済学者やエコノミストのほうが正確な分析ができるかもしれない。しかし、「阪神関連グッズのうれゆき」などは経済学者よりデパートの店員の方が正確にいいあてられる可能性がたかい。

たしかに、産業連関表の作成はプロの仕事だ。しかし、それを使うのは理論の理の字もしらないど素人でもできてしまう。

もちろん、産業連関分析の分野でもプロの仕事はある。しかし、それはある意味では他の分野よりとても困難なのだ。たいがいの仕事では素人でもできる仕事である分野でプロの仕事をするには、むずかしい。自転車を運転できるだけでは自転車乗りのプロになれない。自転車乗りのプロになるためには曲芸のようなことができなければならない。産業連関分析のプロにも曲芸が要求されてしまうのだ。

たぶん、多くの経済学者にとって、産業連関分析の曲芸師になるより、他の素人が参入しそうにない分野にいるほうが楽なのだろう。